弁栄上人に影響を受けた人物

知恩院第76世 福田行誡

「天下の黒小僧」

福田行誡上人(増上寺第70世・知恩院第76世)のもとには各宗の僧侶が教えをうけに集まった。近藤祐子氏もよく行誡上人を訪ねられた。
行誡上人がある時、祐子さんに

「たのもしい小僧を一人ひろった。あれは将来仏になるか菩薩となるか、多分仏になるだろうがどんなに偉い者も、よい信者がつかねばならんから、一つあんたが信者になってくれ」と申された。

その小僧といわれたのが弁栄上人だったと。弁栄上人が印度仏跡参拝から帰られてから一部の人の間に弁栄上人を知恩院におむかえしようとして運動を企てた信者があった。この事を先ず弁栄上人に申し上げると、弁栄上人は

「いや私は天下の黒小僧にしておいてほしい」

といわれるのでなぜですかというと、弁栄上人は

「行誡上人がおまえは天下の黒小僧になれといわれたから」

と、その当時、弁栄上人の真に偉大なところを見抜いて信者になった人は少くないが、また山下現有上人(知恩院79世)、福田行誡上人(知恩院第76世 増上寺第70世)、南隠禅師(臨済宗)、雲照律師(真言宗)などの諸大徳が弁栄上人のただ人でないことを看破して固い信者に弁栄上人を紹介せられた。

(『ミオヤの光縮刷版第一巻』349頁参照)